がん治療に水素吸入療法【予後不良と診断された希少患者の体験談】

「水素吸入療法」という言葉を耳にしたことはありますか。近年の研究により、水素の持つ力が、がん治療においてポジティブな影響を及ぼすことが分かってきました。本記事では、水素ががん細胞に対してどのように働くのか、そのメカニズムを解説します。あわせて、予後不良と診断された希少がん患者とその家族(筆者)が、実際に水素吸入を取り入れた体験談も紹介します。治療の選択肢に悩んでいる方の、後押しとなれば幸いです。

 

水素吸入療法のメカニズム

私たちの健康は、体内で生じる「活性酸素」とそれに対抗する「抗酸化力」のバランスによって保たれています。本来、活性酸素は体内へ侵入した外敵(細菌やウイルス)と戦い排除する防衛機能を備えていますが、増えすぎると自分自身の健康な細胞まで酸化させダメージを与えてしまいます。

 

この「過度な酸化プロセス」が肌のシミやシワといったエイジングサイン、または老化の原因になったり、がんや高血圧、心疾患などの重大な病気を引き起こす一因であることがわかっています。

 

水素を体内に取り入れると、増えすぎてしまった活性酸素と結びつき、無害な水へと変化させて排出させるため、増えて傾いたバランスを改善する働きがあります。また、活性酸素には生命維持に必要な「善玉」と、自分自身を傷つけてしまうほど反応性の高い「悪玉」の2種類に分けられます。

 

  • 善玉活性酸素:一重項酸素、過酸化水素、スーパーオキシド
  • 悪玉活性酸素:ヒドロキシラジカル

 

非常に厄介なことに、強力な破壊力を持つ「悪玉」は、細胞のエネルギー工場である「ミトコンドリア」のDNAにまで損傷を与えてしまいます。その結果、細胞が本来必要とするエネルギーが不足してしまい、体全体の機能がダウンしてしまいます。特に免疫を司る細胞のDNAが攻撃されると、防衛システムが正常に機能しなくなり、様々な病気を発症したり病状の悪化を招く大きな要因となるのです。

 

参考資料:活性酸素種と水素療法

 

水素を体内に取り入れると、増えすぎてしまった活性酸素と結びつき、無害な水へと変化させて排出させる がん治療の一環として行われている水素吸入療法は、水素の特性を活かして諸悪の根源であるヒドロキシラジカルだけを取り除き、本来の免疫力を取り戻してがんと闘う土台を作ることを目指す治療法です。さらに、標準治療と合わせて行うことで、副作用の負担軽減や治療後の経過(予後)の改善が期待できます。

 

くまもと免疫統合医療クリニック理事長の赤木 純児さんも上述のように書籍で言及していました。私も何度も読みなおしましたが、とても勉強になるので、興味があれば、ぜひ読んでみてください。

 

参考資料:書籍「水素ガスでガンは消える!?」著者:赤木 純児

 

水素吸入療法による抗がん効果

悪玉(ヒドロキシラジカル)だけを取り除き、がんの発生を抑える

水素の力を使って悪玉だけを取り除き、がんの形成を大幅に抑制できるという研究成果が、2014年、大阪市立大学(現・大阪公立大学)から発表されました。この実験では、急性肝炎を経て肝臓がんを発症する特性を持つ「LECラット」が用いられています。高濃度の水素水を与えたグループは、与えなかったグループと比較して肝臓がんの発生を抑制することが確認されました。

 

参考資料:Hydrogen acts as a therapeutic antioxidant by selectively reducing cytotoxic oxygen radicals

 

水素による免疫チェックポイント阻害効果

水素には、がん細胞によってかけられた「防衛システムへのブレーキ」を解除し、疲れて力が出せなくなった免疫細胞を復活させ、再びがんと戦えるように支援する働きがあります。体内では、がんが暴走しないように外敵や異物を排除し防衛するシステムが正常に働き攻撃をしています。

 

しかし、がん細胞は増えていくために、体に備わっているこのシステムにブレーキをかけ、包囲網から逃がれ攻撃されないように働きかけるのです。水素を取り入れることでがんがブレーキをかけるのを防ぎ、再びがんと戦う機能を復活させて支援することが、2014年に熊本県の玉名地域保健医療センターによる臨床研究で示唆されました。

 

現在では、免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ等)と合わせて使用することで、さらなる治療効果の向上が期待されています。

 

参考資料:Hydrogen gas restores exhausted CD8+ T cells in patients with advanced colorectal cancer to improve prognosis
掲載誌:Oncology Reports (2019年)

 

水素でがん治療の副作用を軽くする

化学療法(シスプラチン)による腎臓の機能へのダメージを軽くする

抗がん剤「シスプラチン」は強力な薬ですが、腎臓の機能への負担が大きいことが懸念点としてあげられます。予防するために通常は、点滴を行い尿を強制的に排出するという方法が取られています。しかし水素を取り入れることで、腎臓の機能へのダメージが軽減されるということがマウスを用いた実験で確認されました。これにより、治療の質を落とさずに体への負担を減らせる可能性を示唆しています。

 

参考資料:Molecular hydrogen alleviates nephrotoxicity induced by an anti-cancer drug cisplatin without compromising anti-tumor activity in mice
掲載誌:Cancer Chemotherapy and Pharmacology (2009年)

参考資料:「抗がん薬による腎障害(Drug-induced kidney injury of anticancer chemotherapeutic drugs)」 小 松 康 宏、石 井 太 祐

放射線治療の副作用を抑える

放射線治療中に水素を併用すると、治療の効果を維持したまま副作用を抑えられることがわかっています。放射線の照射によって体内に発生する大量の活性酸素が、水素と結びつき中和するため、治療中の倦怠感や体調不良が軽減されるのです。また、日常生活の質を維持、向上できると研究によりわかりました。

 

参考資料:Effects of drinking hydrogen-rich water on the quality of life of patients treated with radiotherapy for liver tumors

参考資料006-水素ガス吸入療法 | 一般社団法人日本先制臨床医学会

 

水素吸入器のリスクと副作用

取り扱いの注意

水素は高い可燃性を有しているので、使用には注意が必要です。使用環境に火気が無いかの確認、静電気の防止や適度な換気を行いましょう。水素吸入器を使用される際は必ず取扱説明書をよく確認してください。

 

懸念される副作用(好転反応)と除外基準

これまで、水素吸入療法が原因と思われる副作用の報告はなく、安全性が高いとされている施術です。しかし、以下のように懸念される副作用(好転反応)が起こるとされています。また、次の表に当てはまる方は使用前に、お近くの医療機関もしくは専門医に相談しましょう。

 

懸念される副作用(好転反応) 除外基準
吐気、嘔吐 重篤な呼吸系の疾患や呼吸障害がある方
気分不良 重篤なアレルギーを有する、あるいは既住のある方
頭痛 薬剤の服用状況を厳密に管理されている方
頻尿 妊娠中または授乳中の方

研究段階の医療であるため絶対の効果を保証するものではない

がん患者に対する症例数が少ないことと、効果には個人差があるため、絶対の効果を保証する治療法ではありません。2007年に水素の特性である悪玉活性酸素だけを取り除くことが報告されてから、多くの研究機関がその効果を検証してきました。

 

参考資料:水素は細胞毒性酸素ラジカルを選択的に還元することで治療抗酸化剤として働きます。ネイチャー・メディスン

 

2018年には先進医療Bに承認されましたが、COVID-19の影響により2022年に症例数の減少で取り下げられてしまいました。しかし、現在も水素を用いた治療の研究がされており、今後さらに症例数が増えていけば身近な治療法になる日も遠くはないでしょう。

 

» 水素ガス吸入療法の現在と将来性|厚生労働省等の情報を紐解く – 水素吸入器ならMAKE MEDICAL株式会社【公式】オンラインショップ

 

クリニックでの水素吸入療法の流れ

クリニックでの水素吸入療法の流れ

<クリニックでの料金相場>

施術時間 料金
30分 ¥2,500~¥3,000
60分 ¥4,500~¥5,500

 

クリニックによっては回数券が発行されており、この表よりもお得に利用できる場合があります。また、クリニックでの吸入療法の特徴は専門医がいることに加えて、他の治療と併用できるところにあります。

 

水素吸入器をレンタル、購入に至った理由

吸入器のレンタルは比較的低コストで申し込みのハードルが低いのが特徴です。しかし購入するとなると費用が高額なのでためらってしまうことでしょう。

 

それでも私がレンタルから購入に切り替えたのは

  • 水素による免疫向上を求めた
  • 家族のがん予防に対する認識の変化 将来の健康への投資
  • 長期的な使用を決めた

からです。

 

水素による免疫向上を求めた

吸入器を使用する前はよく風邪を引いていましたが、使用してからは風邪を引かなくなり免疫力が上がっていると実感しています。また、水素には免疫力を上げるだけでなく、リラックス効果や疲労回復効果もあります。

 

仕事での精神的な疲労や、肉体労働による疲労の回復もできるのは、一石二鳥以上の効果をもたらしてくれると感じました。「将来も免疫力を高く維持して過ごしたい」と思いましたので、購入へと切り替えました。

 

家族のがん予防に対する認識の変化「がんを完全除去するのではなく増やさない」 将来の健康への投資

使用する前までは私も含めて家族全員が、がん治療とは抗がん剤治療、放射線治療や摘出手術によって完全に除去する方法のみだと思っていました。しかし、水素吸入療法を知ってからは、治療に対する考え方とがんとの向き合い方が変わったのです。がん細胞は毎日5000個誕生すると言われていますが、がん細胞が暴走せず大人しくしているのは、体の免疫システムが正常に働いているからです。

 

両親は数年後には60歳と、いつがんになってもおかしくはない年齢です。そのような要因もあり今後について家族会議を行いました。その中で「これからさらに年を重ねてからがんを発症し、抗がん剤治療や放射線治療を行えば体に大きな負担をかけてしまう。そして経済的にも精神的にも大変になるだろう」という意見がでました。

 

この家族会議を機に「がんになったら完全除去する」という考えではなく、日頃から免疫力を高めてがん細胞を増やさないようにするという考えに変わったのです。そのためには長期的に、将来の自分たちの体への投資として水素吸入器を購入することを決めました。

 

長期的な使用がしたく費用を比較してみた

水素吸入器のスペックによって料金に差があります。高性能な吸入器であれば機械代が¥1,000,000前後になり、レンタル代も¥100,000/月と跳ねあがります。ご家庭で使用するのであれば以下の表を参考にしてください。

 

レンタル ¥5,000~50,000 / 月
機械代(購入費) ¥200,000~500,000

 

例えば、本体価格¥300,000、レンタル費用が¥5,000と初回申し込み費用¥25,000の場合。¥300,000分をレンタルするのであれば4年半かかります。

 

長い期間使用しなければレンタルの方が圧倒的に良心的です。しかし水素によって免疫力を向上させることは感染症だけでなく、がんや高血圧、心筋梗塞などの様々な疾患に対して効果があるわけですから、将来かかるかもしれない医療費が浮くのではないないでしょうか。

 

がん治療だけでなくその他の治療費や入院費なども高額ですし、発症リスクが低くなるのであればいらない恐怖を抱くことはありません。また、将来の家族の健康への投資にもなります。一人分の医療費だけではなく、家族の分も抑えることができます。これらを踏まえて私はレンタルから購入へ切り替えました。

 

【予後不良と診断された希少がん患者の体験談】

患者情報 概要
疾患 縦隔性腫瘍(肉腫 悪性)
年齢/性別 20代前半/男性
水素吸入療法を取り入れることになったきっかけ ・抗がん剤治療を複数回行ったが期待していた効果を得られなかった。

・治療の副作用で長く服用し続けるのは困難と判断された。

 

上記の患者は私の弟です。これからお話しすることは、彼のその時の様子と、水素を取り入れてどうだったかを話してくれたものになります。

 

一日の吐き気、嘔吐回数が1/3以下に

抗がん剤治療を始めて2回目(2クール目)ごろから水素ガス吸入療法を取り入れ始めました。初めての抗がん剤治療では「吐き気」「嘔吐」が毎分起き、エチケット袋の交換は一日に3回以上ありました。(嘔吐回数は多い時で10回以上)

 

しかし、水素を取り入れてから1ヶ月半経過(3回目の抗がん剤)ごろから、一日のエチケット袋の交換回数が多くて3回、少ない日では1回に減ったのです。痰を吐き出すことはありましたが、嘔吐をする回数は3回前後と目に見えて減っていました。

 

不快感などで眠れなかったが寝つきが良くなった

抗がん剤治療の副作用や腫瘍の位置の影響で、胸やのどの不快感と体のだるさから、昼間に眠ってしまうことが多く昼夜が逆転していました。

 

しかし、水素吸入後、吐き気や嘔吐回数が減ったため、胸やのどの違和感が軽減され、不快感から目が覚めるということが減りました。徐々に昼夜の逆転が戻っていき、寝つきも良くなって行くことが著者から見てもわかりました。

 

水素吸入器の使用感に不快感はなかった

水素吸入器の使用はテレビや動画配信サイトを視聴しながら、または就寝時に行うことが多かったです。息苦しさや吸入器のチューブの不快感を感じることはなく、リラックスして行えています。気が付いたら終わっているという状態のため続けることができました。

 

【私(家族)の使用体験談】

水素ガス吸入器を使用してから今で3年経ちました。ここからは私や私の家族が実際に使用してみて実感したことをお話しします。

 

本格的な風邪への移行が少なくなった

のどの違和感や鼻水がでる状態から、熱を出したり、だるさや寒気から動けなくなるといった本格的な風邪になることが少なくなりました。

 

私は過去に、1シーズンに同じ型のインフルエンザになってしまうこともあったほど身体が強くはありません。それゆえ、季節の変わり目ごとに体調を崩してしまい、毎年冬にはインフルエンザにかかっていました。

 

しかし、水素ガスを吸入してからのここ数年は、インフルエンザにかからない自己記録を更新しております。また、家族の風邪になる頻度も年に2〜3回あったのが、昨年では誰も風邪をひかず、免疫力が上がっていると実感しています。

 

胃酸の逆流が改善した

仕事や乱れた生活習慣で溜めてしまったストレスの影響で、胃や腸などに負担をかけてしまい、胸やけやのどの違和感を感じていました。しかし水素を取り入れるようになってから、胃からこみ上げてくる痛みの回数が減り、水素による活性酸素の除去が効いているのでは?と感じております。

 

もちろん生活習慣の改善やストレスを溜めない考え方を身に付けることで、ストレス発生の根本的な改善に努めることも日々心掛けています。

 

翌日に持ち越していた疲れが溜まらなくなった

水素ガスを取り入れてから、私自身も寝つきが良くなりぐっすり眠れるようになりました。水素を吸入することによるリラックス効果を実感してます。

 

特に水素風呂の影響が大きいように思います。同じ40度のお湯でも水素を入れたお湯では、より温かく感じられるのです。ですので、水素を取り入れる以前と比べ、いつも以上に体がポカポカし、疲れが取れ眠りやすくなっていると感じてます。

 

寝つきが悪く体を休めることができなかったのが、しっかり熟睡できるようになり、翌日に疲れを持ち越さないようになりました。

 

がん治療に水素吸入療法【予後不良と診断された希少患者の体験談】まとめ

がん治療に水素吸入療法【予後不良と診断された希少患者の体験談】

がん治療に水素ガスを取り入れることにより「がんの発生と進行の抑制をする」「これまでのがん治療の副作用を軽減する」という効果を得られます。この療法の目指すところは自身の免疫システムを活性化させ、自分の力でがんと闘う準備をし、がんになりにくい体を作ることです。また水素を日常的に取り入れると「免疫細胞を活性咲かせて免疫力を高める」「日頃の疲労を回復する」「吸入時にはリラックス効果がある」といった恩恵も受けることができます。

 

水素吸入療法は様々な疾患にも有効と言われており、今後さらに研究が進むことで広まっていくと信じています。水素を日常に取り入れ、あなただけでなく、あなたの家族とその将来の健康に対する投資をしていきましょう!

 

著者:蔵本将吉